透き徹っていく季節を追いかける
名前のない日常の想い
懐かしさを感じる出逢い
寂しい声に私の身体が侵されている
刻が見えない
刻が見る夢の中では存在しないものが存在する
刻はもうひとつの日常をつくる
人は常に未知の中にいる
繰り返される変化という調和
記憶もまた変化し成長していく
風のように記憶の中を刻が流れていく
曖昧な選択肢を残したまま日常が歪んでいく
閉じられた感覚の窓の向こうに見失った私の欠片がある
心を溶かすような雨が降っている
風化する想い
未来という過去
失われるべきものは既に失われていた
雨が踊っている
木の葉の揺れる音が聞こえてくる
湿った空気が身体に絡み付いてくる
記憶は明日生まれる
複数の明日が繋がる
なにを探すかではなく
なぜ探すかという所から始まり
時を失った樹木のように生き続け
私は私の沈黙を抱きしめる
風が吹く
低く垂れ込めた雲に
水彩画のように私の影が重なっていく
私には私が見えない
あなたには私が見えない
あなたにはあなたが見えない
私にはあなたが見えない
扉の向こうで風の声がする
あなたは記憶として私の中にある。
残された時間を習慣化する不思議
失われた答は失われたまま
待つ事で過ぎ去った時をなぞる
いのちは孤独だ
やがて私もひとつの記憶になる
明日の過去になる
濡れた身体に
さよならと刻む夜
繋いだ掌の中の滑らかなぬくもりから
産まれてくるモノを感じる
何時か来る見えない夜明けの音を聞く
桜散る坂道をふたりの時が歩んでいく
私は私になり
あなたはあなたになり
愛する形を欲望する
何もない季節を食べる
私はひとつの死だった
あなたはひとつの生だった