犬が遠くで吠えた
夕暮れの匂いがする
恋愛線のつくられる
掌のいちばん裸の部分で
夢のように
あるいは死者のように
あなたを抱く
私の体温が
あなたの体温が
花が花びらの重さを感じるように
傷つき
やさしさを忘れる
私の手のなかのあなたの手と
あなたの手のなかの私の手とは
あまり似ていない
合掌
花言葉なんていらない
夕暮れを眼差しで抱擁する私たちに
出逢う場所など何処にもない
私は私でしかなく
あなたはあなたでしかなく
傷つけあう鳥と空のように
私は私であることによって傷つき
あなたはあなたであることによって傷つき
来ない明日を待つ
地平線が走る
風がみえる
私は誰を殺したのか
あなたは誰を殺したのか
瞼の裏の幽霊たち
呼吸をくわえて走り去った犬
夕暮れの匂いがする
狂えない悲しさ
鏡のなかに
やがて空が落ちてくる
死には重さがない
花も
殺意のかけらもなく
夢をみる唇
微笑みを殺したい
誰かが覗いている
人をすきになるということは
ほんの少しやさしくなること
食べてください
私を
花が散る
汗ばむ夢
肉体の裏側で鼓動する夢
悲鳴に近い距離
名前のない希望
食べてください
私を



2014.10.04 Sat l 散文 l コメント (4) トラックバック (0) l top
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